私は、新NISAはすべてインデックスファンドのオルカンにすると決めておりますが、特定口座では高配当ETFを保有してインカムゲインを稼いでおります。
下記記事のとおり、高配当で有名なSPYD・HDV・VYMを保有しているだけでなく、カバード・コール戦略をとっている超高配当ETFのQYLDも保有してました。このたび、約3年程保有していたQYLDを売却したので、類似商品であるQYLGとも比較しながら実際に投資した経験等も交えて説明していきたいと思います!
高配当ETF SPYD・HDV・VYMの構成比較 | 旅好き投資家マスオの億り人FIREまでの軌跡 (investrip123.com)
QYLDとはどのような商品なのか
ファンドの概要
- NASDAQ100指数の株式を購入
- 対応する同一指数のコール・オプションを売却するもの
ファンドの特徴
- 高い潜在インカム:ボラティリティの高い時期には、より高い利回りを生みだしてきた
- 毎月分配:定期的なインカムの提供を目指す
- 12か月利回り※:12.10%(2024/8/30時点)
※直近の基準価額をもとに過去12か月間ファンドを保有していたと想定した場合のイールド
グローバルX社の商品説明を見ると上記のように記載がされています。これでけ見ても何がなんなのかわかりませんよね。私もわかりませんでした。しかもわからない状態でyou tubeを見て毎月分配でかつ高配当ということに釣られて300万円ほど投資してしまいました。
よくないですね。ちゃんとどういった商品なのか把握して投資を判断するのがいいと思います。皆さんは私と同じ過ちは犯さないよう注意してください。
オプションとは
オプションとは、ある特定の資産を予め決められた価格で将来のある時点で購入もしくは、売却する権利を売買するデリバティブ契約です。なお、オプションの行使は義務ではありません。
- 買う権利➡コール・オプション
- 売る権利➡プット・オプション
当記事は、オプション取引の詳細を説明するものではなく、QYLDの説明記事なので、ここでは買う権利がコール・オプションということを覚えていただければ十分だと思います。
コール・オプションの例
例えば、α社株を1年後に100円で買うコール・オプションを、AさんがBさんに売ったとします。Aさんはオプションの対価としてBさんからプレミアム取得料を受け取ります。
この場合、Aさんがコール・オプション(買う権利)の売り手、Bさんが買い手となります。(Bさんが買うことができ、Aさんは売らないといけません。)
●α株の時価が120円になった場合
α株が120円になると、Bさんは時価が120円の株を100円で買うことができるので、コール・オプションの権利を行使します。100円で買った株を120円で売却できるので20円儲かることになります。
Aさんは、時価120円の株を仕入れて、100円でBさんに売らないといけません。
結果、以下のとおりとなります。
- Aさん:20円-プレミアム取得料(受取)の分だけ損失
- Bさん:20円-プレミアム取得料(支払)の分だけ利益
●α株の時価が80円になった場合
α株が80円になると、Bさんは時価が80円の株を100円で買っても損してしまうので、コール・オプションの権利を行使しません。権利行使しなくてもAさんに支払ったプレミアムは返ってきません。
Bさんが権利行使しない場合、Aさんは受け取ったプレミアムの分だけ利益がを得ることができます。
結果、以下のとおりとなります。
- Aさん:プレミアム取得料(受取)の分だけ利益
- Bさん:プレミアム取得料(支払)の分だけ損失
カバード・コール戦略とは
株を保有しながら、その株のコール・オプションを売る戦略です。
コール・オプションの売り手は、理論上は損失が無限大です。例えば、α社の100円で買うことができるオプションを売却したとします。α社の株価は理論上天井がありませんから、100円で売らないといけないコール・オプションの売り手は無限の損失を被る可能性があります。一方で、買い手は株価が権利行使価格より下回っていれば権利行使できませんが、支払ったプレミアム取得料が最大損失になります。
カバード・コールでは、オプション取引の対象となる株式を保有しながらコール・オプションを売ります。対象となる株式を保有していることで無限の損失を被るリスクを低減できます。
例えば、価格が80円の株式について、100円が行使価格となるコール・オプションを売っていて、株価が1000円となり権利行使されたとします。
●株式を保有していない場合
1000円の株式を購入して100円で売らないといけません。株式を調達するために1000円必要となってしまい、大きな損失を被ります。
●株式を保有している場合
保有している時価が1000円の株式を、100円で売らないといけませんが、株式の時価が80円の時から保有しているため80円から1000円となった値上がり益は享受できている状況。
ただし、100円で売らないといけないので、900円(1000円-100円)の利益は放棄することになるが、再調達しているわけではないので、900円の値上がり益を放棄するだけでよい。(株式を保有していない場合のように1000円の支出が伴っているわけではない。)
カバード・コール戦略の市場環境別の状況
カバード・コール戦略では、対象となる株価が上昇した場合は権利を行使されてしまうため、その値上がり益を放棄しないといけないという特徴があります。これを各相場状況に当てはめると下記のとおりとなります。
●上昇相場
コール・オプションのプレミアム料を受け取るものの、上昇した株価の恩恵には預かれないため、市場をアンダーパフォームしてしまう可能性がある。
●横ばい相場
コール・オプションのプレミアム料を受け取れる。権利行使もされない可能性が高いため、市場をアウトパフォームする可能性がある。
●下落相場
コール・オプションのプレミアム料を受け取ることで、下落した株価の損失の一部を相殺。これにより市場をアウトパフォームできる可能性がある。
カバレッジ比率
カバード・コール戦略には、ポートフォリオ全体価値に等しいコールを売るものと、一部に限定したコールを売るものが存在し、ポートフォリオに対する売却したコールの割合をカバレッジ比率といいます。
たとえば、50%のものについては、プレミアムの半分を受け取りつつ、保有している原資産の上昇率の半分を享受します。
100%のものについては、原資産が根上がってもすべて売却しないといけないため、値上がり益をすべて放棄することとなります。
QYLDとQYLGの違い
さて、いよいよQYLDとQYLGについてでございます。
どちらもNASDAQ100指数の株式を保有し、対応する同一指数のコール・オプションを売却する点は一緒です。なにが異なるのかといいますと、下記のとおりカバレッジ比率が異なります。
・QYLD→カバレッジ比率100%
・QYLG→カバレッジ比率50%
QYLDは値上がり益のすべてを放棄している一方でQYLGは50%は値上がり益を享受していることとなります。まとめると下記の表のとおりとなります。
項目 | QYLD | QYLG |
---|---|---|
保有株式 | NASDAQ100指数 | NASDAQ100指数 |
カバレッジ比率 | 100% | 50% |
12か月利回り(2024/8/30時点) | 12.1% | 7.6% |
経費率 | 0.61% | 0.35% |
分配頻度 | 月次 | 月次 |
保有しているQYLDをどうするか再検討
ここまで整理してきたようにQYLDはカバレッジ率100%のカバード・コール戦略をとる投資商品です。
保有する資産の権利行使価格を超える値上がり益を放棄する代わりに、オプション・プレミアムを獲得する戦略となりますので、NASDAQの値上がり益を放棄することで高配当を実現していることになります。
私は、you tubeを見ただけではこの「NASDAQの値上がり益を放棄することで高配当を実現」ということをよく理解できていませんでした。
最近は株式の平均リターンが7%であるということを期待して高配当株ではなくインデックス投資をメインとしている中で、このNASDAQの根上がり益を放棄する戦略は自分には合わないなと考えました。
私はNASDAQ指数に連動するインデックスファンドも保有していますが、それはNASDAQの成長に期待して投資しているためです。
私の年間配当金は約100万円ほどですが、QYLDが大きな割合を占めているため、売却すると大きく配当金が下がってしまいます。ですが、米国の利下げ・日銀の利上げにより円高になる可能性もあることからここで売却することとしました。なお、ドル建てでは大きくー・円建てでギリギリ+という状況でした。
QYLDから獲得した累積配当金
2021年12月に投資をして2024年8月に売却しましたが、累積配当金は下記のとおり、円建てで1,013,826円でした。
QYLDの売却資金をどこに再投資するか
候補先としてQYLG、JEPI、JEPQを検討しております。QYLGについては、この記事をまとめる際に調べたところ、カバレッジ率が半分でありNASDAQの値上がり益も享受できますが、経費率が高すぎますので対象外としました。
次回はJEPIとJEPQについてまとめたいと思います。再投資先は、この2つもしくは、VYMか高配当個別銘柄を検討しているところです。
まとめ
以上簡単にですが、QYLDについて、自分の投資実績も交えながらまとめてみました!!!
QYLDに投資を検討している方の参考になれば幸いです!!!
ここまで高配当のETFもなかなかないので、値上がり益を完全に捨てても高配当インカムが欲しい投資家さんにとっては悪くない選択肢だとは思いますが、経費率も高いですし、2021年12月の時点で今の知識があれば、QYLDには投資しなかった思います。